HOME階層下がるコラム一覧階層下がるもう失敗しない外国語学習方法階層下がる第4章 今、何ができるか行動能力による評価

もう失敗しない外国語学習方法

あなたは外国語の能力はどうやって評価するものだと思っていますか?知っている単語の数でしょうか。文法の知識の量でしょうか。それとも「○○検定」のような資格試験のスコアでしょうか。それらも確かに能力ではあります。単語を知らなければコミュニケーションは成り立ちませんし、複雑なことを伝えようと思ったら、文法的な正確さも必要になります。検定試験のスコアも人に自分の能力を説明しようと思ったら、便利ではあります。

しかし、あなたは外国語で何かをするために、その外国語を学んでいるのではありませんか?だとしたら、外国語の能力の評価は、その外国語を使って何ができるかという基準で行ったほうが、目標と評価基準に整合性が生まれるということになります。

何ができるかという課題達成能力に基づいた外国語能力の評価基準として、今かなり広範囲に通用しているのは、EU欧州評議会という組織が作ったヨーロッパ言語共通参照枠というものです。このシステムでは、言葉を使うスキルが5つあります。これまで一般的だったのは聞く、話す、読む、書くの4つのスキルでしたが、この能力記述では一人で話すのと、他の人とやり取りをするのとが分かれています。

そしてそれぞれのスキルに、A1からC2まで6つのレベルが設定されています。A1はもっともやさしいレベルで、C2は非常に優れた母語話者と同じくらいのことができるレベルです。B1は、一人で旅行しても困らないというレベルになっています。

英語試験のTOEFLやTOEIC、中国語試験の漢語水平考試(HSK)などの試験を受けることを考えていらっしゃる方は、ヨーロッパ言語共通参照枠の6つのレベルが、テストのスコアとどのように関連しているかに関心を持たれるかもしれません。

英語ですが、ウィキペディアに主なテストのスコアとヨーロッパ言語共通参照枠のレベルとの関係を示す表が載っていますのでご覧ください。上の3つの試験の他に、韓国語能力試験(TOPIC)、イギリス英語試験のIELTS、フランス語学力テスト(TCF)、ゲーテ・インスティトゥートのドイ語検定試験などが含まれています。

さて、ヨーロッパ言語共通参照枠には自己評価のために、各レベルの能力を簡単に記述した表がついています。ここでは例として、やりとりの6つのレベルの記述を紹介します。
 

A1
相手がゆっくり話し、繰り返したり、言い換えたりしてくれて、また自分が言いたいことを表現するのに助け船を出してくれるなら、簡単なやり取りをすることができる。直接必要なことやごく身近な話題についての簡単な質問なら、聞いたり答えたりできる。

A2
単純な日常の仕事の中で、情報の直接のやり取りが必要ならば、身近な話題や活動について話し合いができる。通常は会話を続けていくだけの理解力はないのだが、短い社交的なやり取りをすることはできる。

B1
当該言語圏の旅行中に最も起こりやすいたいていの状況に対処することができる。例えば、家族や趣味、仕事、旅行、最近の出来事など、日常生活に直接関係のあることや個人的な関心事について、準備なしで会話に入ることができる。

B2
流暢に自然に会話をすることができ、母語話者と普通にやり取りができる。身近なコンテクストの議論に積極的に参加し、自分の意見を説明し、弁明できる。

C1
言葉をことさら探さずに流暢に自然に自己表現ができる。社会上、仕事上の目的に合った言葉遣いが意のままに効果的にできる。自分の考えや意見を精確に表現でき、自分の発言を上手に他の話し手の発言にあわせることができる。

C2
慣用表現、口語体表現をよく知っていて、いかなる会話や議論でも努力しないで加わることができる。自分を流暢に表現し、詳細に細かい意味のニュアンスを伝えることができる。表現上の困難に出会っても、周りの人がそれにほとんど気がつかないほどに修正し、うまく繕うことができる。
 

この自己評価表にはいくつか重要な特徴があります。

まず、A1に「助け船」とあるように、相手が助けてくれればできるというのも能力のうちと考えていることです。次に、B1に「準備なしでという表現があることから、準備して臨めばできるというのも能力のうちだと考えられていることがわかります。

そして、「流暢に」という表現がB2になって初めて出てくることから、つかえながらでも自分の言いたいことが言えれば、それなりの能力があると考えられていることがわかります。

また、C2の中に「表現上の困難に出会ってもうまく繕うことがきる」という記述があるように、最も上のレベルの人でも、いつでも完璧に言葉が使えるわけではないと考えられていることがわかります。

どうでしょう。こう考えると、プレッシャーを感じずに「私にもできる」と思えるようになりませんか?

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