ポルトガル語は、世界で約2億5,000万人、また8番目の母国語・公用語・話者人口を抱える言語です。そのうちブラジルが約2億人で全体の80%を占めています。残りの約5,000万人はアフリカ・アジア諸国と世界の大陸にまたがって話され、その起源であるポルトガルの人口は約1,000万人であり、他とは異なる進化を遂げた珍しいタイプの言語です。
大きく分けて、主にポルトガルで話される「イベリアポルトガル語」、「アフリカポルトガル語」、「ブラジルポルトガル語」の3つに分類されます。それぞれ発音、単語、用法が異なった特色を持っています。ポルトガル、ブラジルの他、アフリカ大陸ではアンゴラ、カーボベルデ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、モザンビーク、赤道ギニアの公用語です。
同じラテン語を起源とするスペイン語は、ある意味ヨーロッパ語の中での方言のような関係にあり、各語の話者がそれぞれの言葉でそのままコミュニケーションが取れるほど差異が小さく、イタリア語も含めると似て異なる言語として、そのうちの一言語を話すことができれば、他言語も比較的簡単に覚えることができます。特にポルトガル国境近く、スペイン北西部のガリシア地方で話されるガリシア語との差異は更に小さく、どちらかというとポルトガル語寄りの言語です。
日本では両国の歴史的な関係性や、今日では経済発展が著しいBRICsの一員でもあることから、ポルトガル語が重要視され、日本全国で20万人以上の日系ブラジル人が地域の身近な外国語として独自の発展をしています。移民史100周年を超えたブラジルでの日系人の人口比率は約0.8%で、社会的地位が高く、現地では「世界で最も優秀な日本人はブラジルにあり」とまで言われ、ラテンアメリカ諸国最難関であるサンパウロ大学(ブラジルの東大)在籍者の約14%が日系人です。
16世紀にポルトガル人による西洋文明の洗礼を受け、当時伝来したポルトガル語が現在でも日本語として使われています。例えば、カステラ、カッパ、テンプラ、コップ、ボタン等がよく知られていますが、毎朝食べるパン(pao) もポルトガル起源だとはあまり知られていません。
ポルトガル帝国は名実ともに消滅したものの、600年近く続いた植民地支配の名残が世界各地で散見されます。各国の歴史的建造物、宗教の影響、そして何と言っても歌うような響きのあるポルトガル語は、ボサノバ好きのお洒落で先鋭的な人々に愛され、ワインを飲みながらアミーゴとの語らいに、リオのカーニバルでサンバを歌いながらこれからも継承されていくでしょう。
ポルトガル語は他のラテン語起源の言語同様、日本人にとって比較的発音しやすく、英語学習の基礎があるため全くゼロからの学習ということでなく、単語の語尾の規則的な変型や、同義の言葉への置換などにより飛躍的に単語数が増えます。