ロシア語の起源については諸説ありますが、東スラブ人が使っていた古東スラブ語から発展したという説が最もよく知られています。
13世紀にキエフ大公国が崩壊した後、ルーシの地はモンゴル帝国に支配されていて、現代ロシア語にも財政や金融に関わる単語を中心に、タタール語などのテュルク諸語やモンゴル語の影響が残っています。その後、北東ルーシの辺境(現在のヨーロッパ・ロシア)でモスクワ大公国が成立し、この国の公用語がロシア語として独自に発展していきました。
ロシア帝国の時代には、1708年にピョートル1世によってアルファベットが単純化されたのを皮切りに、ロシア語の改革が盛んになりました。18世紀後半にはミハイル・ロモノーソフが初めてロシア語の文法書を著し、標準語の形成に大きく寄与しました。19世紀初頭にはアレクサンドル・プーシキンによって近代的な文語が確立し、宮廷は西欧諸国を模範として近代化を進めたことから、大量の専門語彙がオランダ語、フランス語、ドイツ語などから取り入れられました。
1991年末のソ連崩壊で、ソ連を構成していた各共和国はそれぞれ独立し、それまでロシア語との併用という形を採っていたそれぞれの民族語が第一の公用語へと昇格しましたが、その後の言語状況に関しては様々です。
今でもロシア語が幅広く使われ続けている国が、ベラルーシやカザフスタン・キルギス・ウズベキスタン・トルクメニスタンなどでは非ロシア人でもロシア語しか喋れない人も多く、また多民族が入り混じって生活する中央アジア諸国では、ロシア語が民族を超えた共通語として使われています。カフカース地域、及びモルドバでも、現地人同士の日常会話には現地語が用いられることが増えてきたものの、ロシア語で会話する人々は少なくありません。
一方、プーチン政権で経済の立て直しに成功したロシアがBRICsと呼ばれる経済成長地域の一つに加わり、天然資源を核にした諸外国との経済関係が再び拡大すると共に、ロシア語の需要は再び高まりつつあります。バルト三国などでもロシア語に対するマイナスイメージもソ連時代を経験していない若い世代を中心に徐々に薄れてきていて、ロシア語は英語やドイツ語などと共に、ビジネスなどで必要な言語ととらえる人も増えてきています。
ロシア国内では急速な資本主義化や新技術の導入に伴い、今まで存在しなかった概念や用語が大量に導入されました。これにロシア語の造語能力が追いつかず、特に英語を中心とした外来語がそのままロシア語に導入される例が多くなっています。
シベリア鉄道の終着駅があるウラジオストクまで飛行機で約3時間と、すぐそこに日本から一番近いヨーロッパがロシアです。近々ビザ免除での旅行が可能になるような気配があり、週末海外旅行の新たな場所として注目を浴びるかも知れません。Atlasではあなたに価値の高いユニークなロシア語とその歴史、精神的に寛大なロシア人を知ることができます。