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もう失敗しない外国語学習方法

第6章で、あなたが目標を達成するために、どんな知識を増やしたらいいか、どんなスキルの練習をして慣れればいいかを考えていただきました。次にすることは学習計画を立てることです。学習の計画を立てるには必要なことがいくつかあります。

まず、言葉を学ぶには、あなたの知りたい知識を提供してくれるもの、練習したいことができる材料が必要です。それをこのコラムでは教材(リソース)と呼びます。学習計画には、どんな教材を使うかという情報を含めなくてはいけません。

次に、一つの教材にはいろいろな使い方がありますから、あなたの目的や学習方法の好みに合った使い方を考えなくてはいけません。さらに、目標が達成できたかどうかを確かめる方法も考えておかなくてはいけません。そして、目標を達成する締め切りを設けなくてはいけません。また、無理せずに実行できる現実的な計画をたてることも大切です。ここでは、まず、教材の選び方について、少し詳しくお話します。

ここでは、教材の例を実名を挙げて紹介していますが、それは必ずしも著者がそれらの教材を推薦しているという意味ではありません。教材の善し悪しは相対的なもので、お使いになる方の目的、レベル、学習方法の好み、ライフスタイルなどによって評価は変わってきます。ここに例として挙げてある教材の善し悪しはご自分で判断なさってください。
 

教材選びで考えること

昔からある外国語学習用の教材は辞書や参考書など紙がベースになっていましたが、近年、パソコン、スマートフォン、タブレット、Kindleなどの電子ブックリーダーなど、外国語学習に使える新しい道具が増えました。これらの新しいデバイス用に多くの教材が開発されており、外国語学習教材の選択肢は爆発的に増えています。

教材の選択肢が増えた分、選ぶのに工夫が必要になったということは言えるかもしれません。選択のポイントは、

1)あなたに必要な知識が得られるか、あなたの練習したいスキルが練習できるか
2)あなたのレベルに合っているか
3)あなたの学習方法の好みに合っているか
4)必要な道具や値段、あなたの生活スタイルなどを考えた上で、実際に使える教材か
5) あなたは使いたいと思うか

この5点だろうと思います。一つ一つについて、少し説明しましょう。
 

1)あなたに必要な知識が得られるか、あなたの練習したいスキルが練習できるかどうか

あなたが目標を達成するための教材は、○○語の教科書なら何でもいいというわけではありません。文法の勉強がしたい場合と単語を覚えたい場合では、適切な教材は異なるでしょう。

同じように、旅行に行くために勉強する場合と、仕事に使うから勉強するでも、どんな言葉が必要になるかは異なりますから、教材も違うものが必要になるでしょう。また、話せるようになりたい人に向いた教材と、読めるようになりたい人に向いた教材も違うでしょう。外国語の資格試験を受ける準備には、練習用の問題集も必要かもしれません。

英語のような学んでいる人の数が多い言語では、こうした目的別の学習用に作られた教材がたくさんあります。ただ、タイトルと実際に何に向いているかは必ずしも同じではないので、できれば中身を見て、あなたがほしい知識が入っているか、あなたの練習したいことが繰り返し練習できるかを判断したほうがいいだろうと思います。

また、ひとつの教材を初めから最後まで順番に使う必要は必ずしもないので、どの教材のどこにどんな知識が載っているというように、複数の教材を使い分けることも考えてみてください。
 

2)あなたのレベルや学習方法の好みに合っているかどうか

やる気を持ち続けるには、難しすぎもやさしすぎもしない教材を使って勉強することが大切です。これなら楽しみながらできると思うレベルの教材を選ぶといいかもしれません。

また、外国語学習は同じような難しさのものを何度も繰り返すことが必要です。もし、ある教材を使っていて、突然難しくなってもう限界、と感じるようだったらそれは、その教材の制作に問題があるのです。決して、あなたのせいではないので、その教材はしばらくお休みして、別の、あなたのレベルにあったものを使ってみるといいかもしれません。
 

3)あなたの学習方法の好みに合っているかどうか

学習方法の好みにはいろいろあります。自分の好みの方法で学習したほうが成果も上がるし、やる気も持ち続けられるものです。いくつか代表的な学習スタイルをご紹介しておきましょう。

まず、新しい情報がどんな形で入ってきたら、記憶に残りやすいかが人によって違います。聞いたほうがよく覚えられる人もいますし、見たほうがよく覚えられる人、体を動かすとよく覚えられるという人もいます。耳で聞いたほうがよく覚えられる人は、音が出る教材が向いているでしょう。目で見たほうがよく覚えられる人は文字が書いてある教材が向いているかもしれません。体を動かすとよく覚えられる人には、書く練習のある教材や、指示を聞いて体を動かすという要素のある教材が向いているかもしれません。

次に、理屈がわかってから実践したい人と、理屈より先に実際にやってみたい人がいます。理屈がわからないと落ち着かない人は、文法の説明などを読むのが好きかもしれません。まず実際にやってみたい人は、説明はなるべく少なく、練習がたくさんある教材を使うといいでしょう。

また、具体的な文脈があったほうが覚えられる人もいますが、そういうものが邪魔になる人もいます。文脈があったほうがいい人は、物語や絵のある教材が好きかもしれません。そういうものを邪魔だと感じる人は規則やリストの多い教材が向いているでしょう。

皆さんは、おそらく経験的に自分はどのタイプだということを知っていると思いますが、もしこれまで自分が選んできた教材が使いにくいと思うようなことがあったら、違うタイプの教材を一度試してみてはどうでしょう。意外にあなたに向いているかもしれません。
 

4)実際に使えるかどうか

教材を選ぶ時は、道具のことも考えなくてはいけません。スマートフォンのアプリがいくら便利でも、そもそもスマートフォンを持っていなければ、選択はできませんしかし、もし、○○語の勉強ができるのは電車の中だけというような生活だったら、携帯やスマホの機種変更をする意味もあるかもしれません。このように、様々な現実的条件を考えて、あなたにとっては何が実際に可能かを考えることが大切です。

教材を選ぶ時は、値段も重要な要素です。1セットが数十万円もするものから、一部のウェブサイトやスマホアプリのように無料のものまで、値段は様々です。外国語学習にいくらぐらいまでなら投資できるかは、その人の経済的余裕によっても、どのくらい差し迫った必要があるのかによっても違うだろうと思います。

また、お金をかけたほうが、やめてはもったいないと思って続けられるという人もいるでしょうし、安上がりにすることに意欲を持つ人もいるだろうと思います。実際、教材は、高いから良い、タダだから悪いとは限らないので、お金を節約する方法はいくらでもあります。ですから、いくら以上は使うなとか、逆にこのくらいの投資は絶対に必要だとか数字を示すことはできません。しかし、いくつか考え方の筋道はあります。

まず、中身を試しに使ってみられるものを選ぶことです。人は一人一人違うので、いくら評判がよくても、あなたに向いているかどうかは使ってみなくてはわかりません。

また、何をどんな順番で学習したいかは一人一人違うので、一つの教材を最初から最後まで順番にするというやり方では、あなたのニーズに100%応えることはなかなかできません。いくつかの教材を持っていて、その時のニーズや関心によって使い分けたほうが、自分自身の学習をデザインするには役に立つだろうと思います。予算が決まっていたら、それを全部使って一つの教材を買うより、安めのものをいくつか買ったほうが、たぶん柔軟な学習ができるはずです。
 

5)使いたいと思うかどうか

少し意外かもしれませんが、例えば、背景の色が自分の好みではないのであまり見たくないとか、女性を差別するような例文があるので読みたくないとか、言語の学習とは必ずしも直接関係なくても、あなたがやる気になれないような要素があるのなら、それはあなた向きの教材ではないかもしれません。

どんなに評判がよくても、頭で考えた時にいくら良い教材だと思ってもどこかひっかかるところがあるのなら、とりあえず他のものを選んだほうがいいかもしれません。学習には理性だけでなく、感情や直感も大きな役割を果たします。あなたの気持ちや直感も大切にしてください。

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